読書メモ、再開。
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斜陽(太宰治)
読書感想文。
こういうの書くと私のバカさがバレるなぁ。

斜陽
斜陽
posted with amazlet on 07.02.21
太宰 治
集英社
売り上げランキング: 243930
おすすめ度の平均: 4.0
4 日本文学の必読本
5 落ち行く日は太宰にふさわしきスポットライト
3 落ちてゆく旧華族


久々に再読いたしました。「斜陽」。
太宰の中で、いちばん好きな作品です。

文章、美しい。ちょーエレガントー。
酔います。
読んだあとは言葉使いが丁寧になります(笑)。
「~ですわ」とか話したくなる。(笑)

文章の美しさもこの作品の好きなトコなんだけど、
もう一個。
オンナの、強さ。
これがもう、胸を打ちます。すごいです、かず子。

☆☆☆

一回会っただけの人を、ナゼだか、ものすごーく、好きになってしまうこと。
オンナは、四六時中誰かを思うことが可能らしいです。


私たちは、地下室の暗い階段をのぼって行った。一歩さきにのぼっていく上原さんが、階段の中頃で、くるりとこちら向きになり、
素早く私にキスをした。私は唇を固く閉じたまま、それを受けた。
べつに何も、上原さんを好きでなかったのに、それでもその時から私に、あの「ひめごと」ができてしまったのだ。
かたかたかたと上原さんは走って階段を上って行って、私は不思議な透明な気分で、ゆっくり上って、外へ出たら、
川風が頬にとても気持ちよかった。



かず子は、上原を好きになって、手紙を書きます。
事情があって、直接会いに行けないので、手紙という手段しかないのです。

しかし、返事は来ません。
かず子は、上原からの手紙を待ち続けます。

☆☆☆

待つ。ああ、人間の生活には、喜んだり怒ったり哀しんだり憎んだり、いろいろの感情があるけれども、
けれどもそれは人間の生活のほんの一パーセントを占めているだけの感情で、あとの九十九パーセントは、
ただ待って暮らしているのではないでしょうか。
幸福の足音が、廊下に聞こえるのを今か今かと胸のつぶれる思いで待って、からっぽ。



恋愛にいたっては、時代関係ない感情だとつくづく思う。
こう、たとえば、好きな人からの電話を待つとか……。思い当たんない? 
九十九パーセント待ってしまう気持ち。うう。


勇気があるとか、ないとかじゃなくって、
好きだから行動してしまう。何かしないではいられない。

かず子も、母の死をきっかけに、上原に会いに東京に出かけました。
しかーし、ニヒルな現実が。

六年ぶりに会う上原は、かず子の中で思い描いていたイメージを覆していたのです。
ずっと会えないでいたから、自分の中で、どんどん相手をかっこよく、素敵に、作り上げてしまったのね……。

がっかりしてショックを受けながらも、かず子は上原に抱かれます。
そして不思議なことに、抱かれながらかず子は、再び上原を愛おしく思うのです。

私のひと。私の虹。マイチャイルド。にくいひと。ずるいひと。
この世にまたとないくらいに、とても、とても美しい顔のように思われ、恋があらたによみがえってきたようで胸がときめき、
そのひとの髪を撫でながら、わたしのほうからキスをした。
かなしい、かなしい恋の成就。


そしてかず子は、上原の子を妊娠。
上原と一緒に暮らせるわけじゃないけれど、妊娠して、かず子は満たされた気持ちになります。

☆☆☆

かず子は、気持ちだけで動いて、ここまで来たみたい。
他の人から見たら、全然幸せな人生じゃないないかもしれないけど、
かず子はそれで幸せなのです。

「私のいまの幸福感は、飽和点よ。
くしゃみが出るくらい幸福だわ」


世の中には、「こうやったほうがトクだから」とか……、
打算で動くことってあるじゃない。

だけど、やっぱり、感情で行動したいなぁって思う。
強い感情って、全ての原動力だと思うから。
幸せになれるとは限らなくても、気持ちに正直に生きれば、きっと後悔はない。

文学作品の感想としてはきっとめちゃめちゃだけど、まぁいいとしましょう。
(直治のことは、また機会があったら語ります。長くなるー。)
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八月の路上に捨てる(伊藤たかみ)
読書感想文。
一年くらい前、芥川賞とったやつです。

八月の路上に捨てる
八月の路上に捨てる
posted with amazlet on 07.02.12
伊藤 たかみ
文藝春秋
売り上げランキング: 81525
おすすめ度の平均: 3.5
3 暴言ダン吉状態ですが…
2 全く分かりません(>_<)
4 なめらかに、コツコツと・・・


ストーリー

敦は二十九歳。
誕生日である明日、離婚届けを提出する。

敦とペアで仕事をしている水城さんは、明日でトラックを降りる。
敦は水城さんに、自分の離婚のいきさつを話すことになる。



まずタイトルの「八月の路上に捨てる」。
何を捨てるのかは本文中に描かれていません。
ご想像あれ、ということでしょうか。

主人公は、ジュースを自動販売機に入れる仕事をしています。
肉体労働です。
先輩(同僚?)である水城さん(女性)も、トラックを荒々しく運転し、男言葉を操り、雄雄しい。

季節は夏。
暑苦しく、汗臭そうです。
でも、物語は淡々と進み、どこか清涼な感じさえします。


☆☆☆

さて、この物語は、「男女のすれ違い」がテーマ(と思います)。

主人公、敦と妻の知恵子の様子を見ていると、本当に些細なことからどんどんすれ違っていってしまって、
「あーあーあー」っていう感じ……。

☆☆☆

例えば、敦は学生の頃から脚本家になるという夢がありました。
自分の夢が叶わなかった知恵子は、「あっちゃんはいつまでも夢を追いかけてよね」といい続けます。

でも敦にはそれがプレッシャーでした。
だったら「もうそんな夢あきらめて、勤めにでも出て欲しい」と言われたかった。
そうしたら「妻に言われたから、俺は泣く泣く夢を諦めたのだ」と言い訳ができるからです。
身勝手だけど、このへん男性心理がよく描かれていると思いました。

☆☆☆

知恵子はその後、念願の編集の仕事につきますが、
人間関係が悪くなり会社をやめてしまいます。
色々あって、精神のバランスを崩してしまうのでした。

敦はそんな知恵子にいらだって、浮気もしますが、
心が知恵子から離れることはなかった。
でも、好きというのともちょっと違う。

光化学スモッグ警報を聞いては、水城さんのからからした笑い声を聞いては、ただ知恵子のことを思い出してしまうのです。

☆☆☆

一方、敦からあれこれ聞きだしている水城さん。
彼女もまた離婚暦がありました。

敦よりも二歳年上で、さばさばした性格の彼女。
はっきりとは書かれていませんが、
敦は彼女のことを信頼し、好意を寄せている様子です。
今までも、彼女には本音で、色々なことを相談してきていたのでした。

ところが最後にどんでん返し。
水城さんも、またオンナだったのでした。

ちゃっかりしっかり、敦の知らないところで「自分だけ幸せに」なっていたのです。
それで敦は、彼女が遠くにいってしまうような、むずがゆいような気持ちになったのでした。

☆☆☆

最後に敦は、「何もかも本気だったのだ」と「意地になって」小石を蹴飛ばします。

敦の生き様は、ひたむきで不器用。

だからどうだというわけじゃなく……
それで幸せだということでもなく……
だた、そういうふうにしか生きられないから生きる。

うだるような八月の暑さの中で、敦が捨てたものを考えてしまう私です。




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ひな菊の人生
続けざまに、
吉本ばななさんと奈良美智さんのコラボ作品をご紹介。

ひな菊の人生
ひな菊の人生
posted with amazlet on 07.02.08
吉本 ばなな 奈良 美智
ロッキングオン
売り上げランキング: 101135
おすすめ度の平均: 4.5
5 誰にでもある孤独感
3 贅沢な本
4 ナイスなコラボ!



ストーリー


ひな菊とダリアは幼なじみ。
離れてからも、ひな菊は、一年に一回ぐらい、ダリアの夢を見続けていた。
幼い頃のその夢を見ると、心が落ち着き、「どこかでダリアも元気にやっているんだな」
と安らかな気持ちになったのだ。

ダリアは、ひな菊の母が焼く焼きそばの味が好きだった。
母を失ったひな菊は、その味を受け継ぎながら、転々と居候生活を続けていた。

ひな菊が、ダリアの夢を見なくなり、不安に思っていた頃、嫌な夢を見た。
それは、ダリアの死を予感させる夢だった。

予想のとおり、ダリアは死んでいた。
ダリアが最後に食べたものが焼きそばだったと知って、ひな菊はなんともいえない気持ちになる。



みたいな。



☆☆☆

トモダチに、「久々に吉本ばなな読んでるんだ~」
って話をしたら、
「ああ、別に面白くはないよねぇ~」
と言われてしまった(笑)。

確かに面白くはないかもしれない。
でも、なんとも言えない……「ばなな哲学」を学んだ気分。
一貫してる気がするんだよね。言ってることが。

ばなな作品は、キッチン、うたかた/サンクチュアリ、とかげ、TUGUMI、白河夜船、ハチ公の最後の恋人、
などと、高校のときに読んだ……はずなんだけど。

内容は、きれいに忘れてしまいました。

文章が綺麗だから、読んでる間は「酔える」のだよね。世界観に。
そういう感じが好きでした。


☆☆☆

そして、「ひな菊の人生」。
これもまた、なんともいえない読後感です。
タイトルに「人生」って入ってるだけあって、人生語ってる気がする。

この本で核になっている食べ物は、「焼きそば」です。

ひな菊は、焼きそばやお好み焼きを毎日焼いていて、いつも腕が痛いの。
それでも、ひな菊は、自分の職業に誇りを持っていたのです。

「いつも誰かがあののれんの向こうの明かりを目指して、夜道をやってきた。
ちょっとおずおずして嬉しそうに入ってきた人々の顔が食べているうちに変わっていくのを見るのもよかった。
けんかをしていようと黙っていようと、顔がゆるんでその人本来の姿になっていく。
煙の向こうにそれを眺めるのが好きだった。いい人生だったなぁ、と私は思っていた。」


それだからこそ、人生最後の食事に焼きそばを選んだダリアのことを考えると、
苦しいような、誇らしいような気持ちになったのでしょう。

「天とか運命は、首の事故で彼を俺たちから奪うことはできても、
あの楽しかった時間を奪うことは永遠にできないから、俺たちの勝ちだと思うんだ。
勝ち負けではないんだけど。」

「夢に見るほどの思い出を作ったからかな。」

「そうかもね」


☆☆☆

たとえ、ストーリー忘れたとしても、
どこかで誰かがこんなこと言ってた……

っていう記憶として、私の中に言葉が沈んでいくんだろうなぁ。
それはそれで、素敵なことだと思うのです。

って、オバカな自分を正当化してるだけか?
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アルゼンチンババア
忘れないうちに読書感想文。
きのう読んだ作品はこちら。


アルゼンチンババア
アルゼンチンババア
posted with amazlet on 07.02.05
よしもと ばなな 奈良 美智
ロッキングオン
売り上げランキング: 153252
おすすめ度の平均: 4.0
4 吉本ばなな好き よしもとばななはじめて
5 ゴージャスな装丁に彩られた素晴らしい物語。
5 ステキです!



ストーリー

母が死んで全てが変わった。

父は、近所で有名な、「アルゼンチンビル」の「アルゼンチンババア」のところに住み着くようになる。
「アルゼンチンババア」は、ぼろぼろの服を着た、わし鼻ですごい化粧の、一風変わった老女だった。

「アルゼンチンビル」の中は、ほこりだらけで、猫のおしっこのにおいがする。
不思議な倦怠感に満ちていて、現実とは切り離された世界だ。

アルゼンチンビルの屋上で、母のためのイルカのお墓や、曼荼羅を作る父を見て、
私は、だんだん父がそこに住み着く理由が分かってくる。



みたいな。




☆☆☆

なんといっても豪華な本です。
表紙もキラキラ。カラーにクラフト紙にトレーシングペーパー。
奈良美智さんのイラストと写真が盛りだくさんです。
ちょっと銀色夏生さんの本みたいか?
文庫版もあるみたいだけど、どう違うんだろう。


内容は、なんとも神秘的で、穏やかです。

「父が愛人を作った!」という内容の、どこが? と思うかもしれないけど、
それはばななマジックでしょう。

曼荼羅を作る父は、宇宙についてこんなことを述べています。

「この輪が普通の、俺たちの世界で、この外のほうになると、どんどん空間の色が薄くなっていくのだ。
薄くなるのに、密度は濃くなっていくし、透明なのに強くなっていくのだ。
ここは植物の世界で、ここは、地球を守っている透明な人たちの世界」


そして、その中心には、愛する人がいるのだと。


「好きな人がいつまでも、死なないで、
いつまでも今日が続いてほしいって、そう思ったのよ」


光の中で埃が舞い降りるとき、まるで時がとまったようにゆっくり感じる――、
その瞬間を描いたような、美しい作品です。
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